全国47都道府県別・地元で親しまれるよもぎ饅頭・よもぎ大福レポート

全国47都道府県別・地元で親しまれるよもぎ饅頭・よもぎ大福レポート
はじめに
よもぎ饅頭やよもぎ大福は、餅や餅粉にゆでたよもぎを練り込み、小豆あんを包んだ春の和菓子です。地域によって「草餅」「よもぎ餅」「草大福」「よもぎまんじゅう」など呼び名が異なり、必ずしも各都道府県に一つの代表銘菓があるわけではありません。
また、よもぎは野原や山間部に自生する植物のため、産地の気候や摘み取る時期によって、香り・色・苦味に違いが出ます。一般には、春先の若い芽を使うほど香りが鮮やかで、濃い緑色に仕上がります。一方、北海道や東北では、冷涼な気候を生かした香りの強いよもぎ餅が作られることもあります。
以下では、各都道府県について、特定の有名商品が確認できる場合は商品名を挙げ、そうでない場合は、その地域で見られるよもぎ菓子の傾向や、地元菓子として探しやすい種類を紹介します。なお、「全国的に有名な商品」と「地域の和菓子店で親しまれている商品」は分けて考える必要があります。
北海道・東北地方
北海道
北海道では、旭川市の「お菓子 にちりん」のよもぎ大福が代表的です。旭川産の天然よもぎを100%使い、北海道産のもち米、小豆、砂糖、塩を中心とした無添加仕立てが特徴と紹介されています。つぶあんとこしあんがあり、よもぎの爽やかさに加えて、ほろ苦さも感じられるタイプです。1959年創業の老舗の味を、現在はNPO法人が引き継いでいます。<<1>>
旭川では、創業70年以上の「餅菓子専門 おぎ乃」も、社長自ら採取したよもぎを使う店として紹介されています。口に入れた瞬間に広がる香りが魅力で、工場兼直売所や市内のスーパーでも販売されています。<<2>>
青森県
青森県では、白神山地周辺の自然と結び付いたよもぎ餅が見つかります。特に、若いよもぎを使った草餅は、香りと色の濃さを楽しむ郷土菓子として相性がよいものです。
ただし、全国的に統一された「青森県を代表するよもぎ大福」という商品は確認しにくく、白神山地の名前を冠した商品でも、県外の菓子店が製造している場合があります。購入時には、よもぎの採取地と製造地を確認するとよいでしょう。
岩手県
岩手県では、山間部や農村地域で昔ながらの草餅、よもぎ餅が作られてきました。やや厚めの餅に粒あんを包み、よもぎの野趣を残すタイプが多い傾向です。
盛岡などの市街地では、季節限定のよもぎ大福として販売されることがあります。岩手のよもぎ菓子は、華やかな洋風アレンジよりも、餅とあんの素朴な組み合わせを味わう商品が中心です。
宮城県
宮城県では、蔵王産よもぎを使った商品が知られています。岡山県の廣榮堂が販売する春季限定のよもぎ大福には、宮城県蔵王産よもぎが使われています。北海道産のもち米「はくちょうもち」と北海道産小豆の粒あんを組み合わせ、手作業で包む商品です。<<4>>
これは宮城県内の銘菓というより、宮城県産素材を生かした県外商品の例ですが、蔵王のよもぎが菓子材料として評価されていることを示しています。
秋田県
秋田県では、県北・県南の農村部を中心に、春の行事や彼岸の菓子としてよもぎ餅が親しまれています。もち米の風味を生かした素朴なタイプが多く、あんを包むもののほか、きな粉をまぶすものもあります。
秋田では、全国ブランド化されたよもぎ大福よりも、道の駅や産直施設、地域の和菓子店で販売される手作り風の商品に魅力があります。
山形県
山形県は、だんごや餅菓子が豊富な地域です。よもぎ大福も春季に販売されますが、山形を代表する餅菓子としては、だだちゃ豆やくるみ、あんを使った商品が目立ちます。
山形のよもぎ餅は、濃い緑色としっかりした餅の食感を楽しむタイプが多く、温泉地や道の駅で見つけやすい菓子です。
福島県
福島県では、柏屋の薄皮饅頭のような蒸しまんじゅう文化が有名ですが、よもぎを使った草餅やよもぎ大福も春の和菓子として販売されます。
会津地方では、餅やあんを使った素朴な菓子が多く、よもぎの香りを強めに残した商品に出会える可能性があります。特定の一商品よりも、地域の菓子店や農産物直売所で探すタイプの名物です。
関東地方
茨城県
茨城県では、農村部の和菓子店や直売所でよもぎ餅が作られています。あんを包んだよもぎ大福のほか、切り餅状にしてきな粉を添える商品もあります。
茨城は米や小豆の産地でもあるため、素材の風味を前面に出した素朴なよもぎ菓子が似合う地域です。
栃木県
栃木県では、日光や那須、県北の観光地で草餅・よもぎ饅頭が販売されます。日光周辺では、参道菓子や土産菓子として、餡入りのよもぎ餅を見かけることがあります。
香りは比較的穏やかで、甘さを抑えたこしあんと合わせる商品が多い印象です。
群馬県
群馬県では、温泉地や山間部の土産菓子としてよもぎ饅頭が親しまれています。草津、伊香保、みなかみなどでは、温泉まんじゅうの文化と結び付き、黒糖やこしあんを使った饅頭タイプもあります。
大福タイプより、蒸して仕上げる饅頭タイプを探すなら、温泉街の菓子店が向いています。
埼玉県
埼玉県では、秩父地方の草餅やよもぎ餅がよく知られています。秩父の山間部では、春のよもぎを使った餅菓子が地域菓子として販売され、粒あんやきな粉と組み合わせます。
都市部では、よもぎを練り込んだ大福に加え、つぶあん、塩あん、クリームなどを組み合わせた現代風の商品も見られます。
千葉県
千葉県では、房総の和菓子店や農産物直売所で、季節限定のよもぎ餅が販売されます。落花生を使った菓子が有名な県ですが、よもぎ餅にきな粉や小豆を合わせる商品もあります。
海沿いの地域より、内陸部や農村地域の春菓子として探すと見つけやすいでしょう。
東京都
東京都には、全国から集まった和菓子文化があるため、よもぎ大福の専門店や人気店が多くあります。ただし、東京固有の食材を使った一つの代表銘菓というより、老舗和菓子店から街の餅菓子店まで幅広く作られているのが特徴です。
豆大福で知られる店が、春季限定でよもぎ大福を販売することもあります。餅の柔らかさ、豆の塩味、あんの甘さを比較しやすい地域です。
神奈川県
神奈川県では、鎌倉や箱根、川崎などの観光地で草餅・よもぎ大福が販売されます。鎌倉では寺社周辺の季節菓子、箱根では温泉地の土産菓子として親しまれています。
観光地の商品は、日持ちを考えて餅をややしっかりめに仕上げる場合があります。
中部地方
新潟県
新潟県は米どころであり、餅菓子の品質に定評があります。よもぎ餅も、もち米の粘りと香りを生かした商品が多く、粒あんを包む大福タイプや、きな粉をまぶすタイプがあります。
三条市の餅菓子店など、地域の和菓子を紹介する記事では、よもぎを使った餅菓子が取り上げられています。<<5>>新潟では、米の味を楽しむことが、よもぎ菓子選びの重要なポイントです。
富山県
富山県では、春の草餅やよもぎ団子が家庭菓子・地域菓子として作られます。餅に練り込むよもぎの量が多いと、深い緑色と強い香りになります。
立山周辺や農村地域では、山の素材を生かした素朴な餅菓子として販売されることがあります。
石川県
石川県では、加賀地方の上生菓子文化の影響を受け、よもぎ餅も見た目を整えた上品な商品が多くあります。こしあんを包んだ小ぶりの草餅や、季節の意匠を施した和菓子が中心です。
金沢では、茶席向けの繊細な商品と、普段使いの餅菓子の両方を楽しめます。
福井県
福井県では、農村部の春菓子としてよもぎ餅が作られています。餅の中にあんを包むだけでなく、あんを添えて食べるタイプもあります。
越前地方では、素朴で甘さを抑えた餅菓子が好まれ、よもぎの香りを生かした商品を見つけやすい地域です。
山梨県
山梨県では、草餅・よもぎ餅が観光地や農産物直売所で親しまれています。山梨市の「松陽軒長崎」の草餅は、よもぎの味が濃く、苦味を感じるほど風味が強い商品として紹介されています。<<5>>
よもぎの苦味を隠さず、濃厚な香りを楽しみたい人に向いています。ぶどうや桃の菓子とは異なる、山梨の山野らしい味わいです。
長野県
長野県では、信州の山間部で作られるよもぎ餅が有名です。野沢菜やそばの文化が知られる長野ですが、春の山菜としてのよもぎも身近な存在でした。
餅の色が濃く、香りが力強い商品が多い傾向です。観光地では、野沢温泉、戸隠、木曽などの土産菓子として販売されています。
岐阜県
岐阜県では、飛騨地方や中山間地域で草餅が作られています。朴葉餅など、葉で包む餅菓子の文化もあり、よもぎ餅との親和性が高い地域です。
飛騨のよもぎ餅は、山の香りを生かした素朴な商品として、道の駅や観光施設で販売されることがあります。
静岡県
静岡県では、茶菓子文化が発達しており、よもぎ餅も煎茶とよく合う春の和菓子です。伊豆や山間部では、草餅を観光土産として販売する店があります。
こしあんを包んだ柔らかな大福に、濃いめの緑茶を合わせる食べ方がおすすめです。
愛知県
愛知県では、餡を使った菓子文化が盛んで、よもぎ大福も和菓子店や餅菓子店で販売されています。名古屋の都市部では、粒あんだけでなく、こしあんや抹茶との組み合わせもあります。
特定の郷土銘菓というより、地域の老舗が春季限定で出す商品として定着しています。
三重県
三重県では、伊勢・鳥羽・熊野などの観光地で草餅やよもぎ餅が販売されます。伊勢の餅菓子文化の影響もあり、柔らかな餅とあんを組み合わせた商品が多い地域です。
神社仏閣の門前や道の駅では、できたてに近いよもぎ餅を購入できることがあります。
近畿地方
滋賀県
滋賀県では、米どころとしての食文化を背景に、草餅やよもぎ餅が作られています。琵琶湖周辺の農村地域や寺社の門前では、春の餅菓子として販売されることがあります。
餅の風味がしっかりしており、粒あんやきな粉との組み合わせが基本です。
京都府
京都府では、よもぎ餅や草餅が茶菓子として発展しています。京都市の「音羽屋」のよもぎあん餅は、よもぎの味が濃く、苦味を感じるほどの風味が特徴として紹介されています。<<5>>
京都のよもぎ菓子は、甘さを抑え、餅のきめやあんの上品さを重視する商品が多いのが特徴です。
大阪府
大阪府では、餅菓子専門店や和菓子店の多くで、春季によもぎ大福が販売されます。泉州の和菓子店「むか新」では、白神山地の麓のよもぎを使った「白神よもぎ大福」が紹介されています。新芽から10センチ未満の部分を摘み取り、強い香りと深い色合いを生かした商品です。<<3>>
ただし、これは大阪産よもぎの商品ではありません。大阪では、全国の上質な素材を取り入れた餅菓子も多く、素材産地と製造地を分けて見る必要があります。
兵庫県
兵庫県では、丹波、但馬、播磨などの農村地域で草餅が作られています。丹波黒豆や丹波大納言など、豆の産地としても知られているため、粒あんとよもぎ餅の組み合わせに魅力があります。
城崎や有馬などの温泉地では、土産用のよもぎ饅頭を見つけることもできます。
奈良県
奈良県では、寺社の門前や山間部でよもぎ餅が親しまれています。特に、つきたての餅にあんを包む実演型の商品は、観光客にも人気があります。
奈良のよもぎ餅は、餅の柔らかさとよもぎの香りを前面に出し、できたてを食べる楽しさに特色があります。
和歌山県
和歌山県では、熊野地方や高野山周辺の山の恵みを生かした餅菓子として、よもぎ餅が販売されています。柑橘類の菓子が多い県ですが、山間部ではよもぎの香りを生かした素朴な商品もあります。
鳥取県
鳥取県では、山間部や農産物直売所でよもぎ餅が作られています。大山周辺などでは、春の山野草を生かした郷土菓子として販売される場合があります。
餅の食感はややしっかりめで、粒あんと合わせる商品が多いタイプです。
島根県
島根県では、出雲地方を中心に、餅菓子や団子の文化が根付いています。よもぎ餅は、春の彼岸や地域行事の菓子として親しまれています。
出雲大社周辺や温泉地では、観光土産として整えたよもぎ饅頭も探せます。
岡山県
岡山県では、廣榮堂の春季限定よもぎ大福が代表的な具体例です。宮城県蔵王産よもぎ、北海道産もち米「はくちょうもち」、北海道産小豆の粒あんを使い、2月下旬から春にかけて販売されます。<<4>>
岡山県産のよもぎを使った商品ではありませんが、きびだんごで知られる岡山の老舗が手がける季節菓子として注目できます。
広島県
広島県では、宮島や瀬戸内の観光地でよもぎ餅・草餅が販売されます。もみじ饅頭のイメージが強い県ですが、餅菓子店では春の限定商品としてよもぎ大福を扱うことがあります。
山口県
山口県では、わらび餅や外郎などの柔らかな和菓子文化とともに、よもぎ餅も地域菓子として作られます。萩や長門などの観光地では、素朴な草餅を土産に選べます。
四国・九州地方
徳島県
徳島県では、山間部や農村地域でよもぎ餅が作られています。すだちや鳴門金時の菓子が有名ですが、春の餅菓子としては、よもぎと粒あんの組み合わせが定番です。
香川県
香川県では、うどん文化の陰に隠れがちですが、餅菓子やあん餅の文化があります。よもぎを練り込んだあん餅は、農村部や和菓子店で見られます。
愛媛県
愛媛県では、道後温泉や山間部の土産菓子として、よもぎ饅頭や草餅が販売されます。みかんを使った菓子が多い一方、山間部ではよもぎの香りを生かした商品もあります。
高知県
高知県では、山間部の田舎菓子として、よもぎ餅が親しまれています。餅にあんを包むタイプのほか、あんを添えて食べる素朴な商品もあります。
福岡県
福岡県では、梅ヶ枝餅などの焼き餅文化が有名ですが、よもぎを使った餅菓子も春季に販売されます。太宰府や門前町では、よもぎを練り込んだ焼き餅や大福に出会えることがあります。
佐賀県
佐賀県では、農村部や有田・唐津周辺の和菓子店で、よもぎ餅が季節商品として販売されます。焼き物の町の茶菓子として、緑茶と合わせて楽しむのに適しています。
長崎県
長崎県では、カステラや桃カステラが有名ですが、春の和菓子としてよもぎ餅も作られています。離島や山間部では、家庭的な草餅が地域行事と結び付いています。
熊本県
熊本県では、阿蘇などの山間部で、よもぎを使った田舎餅が親しまれています。香りの強いよもぎを使い、粒あんやきな粉と合わせるタイプが中心です。
大分県
大分県では、湯布院や別府などの観光地で、よもぎ饅頭や草餅が販売されています。温泉地の蒸しまんじゅう文化とも相性がよく、餅タイプと饅頭タイプの両方があります。
宮崎県
宮崎県では、山間部や道の駅で、よもぎ餅が郷土菓子として販売されます。日向・高千穂方面では、山の素材を生かした素朴な菓子として探しやすいでしょう。
鹿児島県
鹿児島県では、かるかんやあくまきなど独自の餅菓子文化があります。よもぎ餅は全国的な代表銘菓ではありませんが、春の農村菓子として作られています。
沖縄県
沖縄県では、伝統菓子の中心は黒糖、餅粉、月桃、紅いもなどで、よもぎ大福は本土ほど定番ではありません。和菓子店や本土系の菓子店で、季節限定商品として販売される例があります。
沖縄でよもぎ菓子を探す場合は、伝統的な「フーチバー」を使った料理文化と、和菓子としてのよもぎ大福を混同しないことが大切です。
地域ごとの味わいの違い
全国のよもぎ饅頭・よもぎ大福を比べると、主に次の違いがあります。
- 北海道や東北は、天然よもぎの香りやほろ苦さを強く残す商品が目立つ
- 関東は、豆大福の技法を応用した柔らかなよもぎ大福が多い
- 甲信越や中部は、山のよもぎを使った濃い色合いの草餅が見つかりやすい
- 京都や奈良は、餅のきめとあんの上品さを重視する傾向がある
- 中国・四国・九州は、農村の春菓子や道の駅の手作り菓子として親しまれている
- 沖縄では、よもぎ大福は地域の伝統菓子というより、比較的新しい和菓子の位置付けである
まとめ
全国47都道府県を見渡すと、すべての県に「県を代表する有名なよもぎ饅頭」が存在するわけではありません。しかし、よもぎ餅は全国各地に広がる非常に身近な季節菓子であり、地域ごとに素材、餅の食感、あんの種類、販売場所が異なります。
特に具体的な商品として注目できるのは、旭川の天然よもぎを使った「お菓子 にちりん」や、社長自らよもぎを採取する「おぎ乃」、山梨の「松陽軒長崎」、京都の「音羽屋」、岡山・廣榮堂の春季限定商品などです。これらに共通するのは、単に緑色の餅を作るのではなく、よもぎの産地や摘み取り時期、香りの強さを商品の個性として生かしている点です。
よもぎ大福を選ぶ際は、製造地だけでなく、よもぎの産地、天然よもぎか栽培よもぎか、粒あんかこしあんか、販売時期がいつまでかを確認すると、地域ごとの違いをより深く楽しめます。春の短い期間にしか味わえない商品も多いため、旅行先では道の駅、老舗和菓子店、産直施設を訪ねるのがおすすめです。

